カテゴリー
環境整備

9.7インチ液晶モニタ(15kHz/24kHz/31kHz対応)

このところTwitterのレトロゲーミング/クラシックゲーミング界隈でぷち話題になっている15kHz/24kHz/31kHz対応の9.7インチ液晶モニタについてメモを残しておく。

9.7インチモニタにメガドライブ + XMD-3 + AD-D15NEK で15kHz接続の図

まず、どんなものかをざっくり説明すると4:3のIPS液晶、入力端子はHDMIだけでなくミニD-sub 15ピンもあり、HDMI入力時は2048×1536 pixelまで、ミニD-sub 15ピン入力時は1920×1200 pixelまで対応している。

水平同期周波数 15kHzに対応しているため、癖のない周波数のアーケード基板やメガドライブやサターンなどの世代の家庭用ゲーム機のRGB映像をアップスキャンなしで映すことができるのが強み。31kHz対応はドリームキャスト VGA対応ソフトやNAOMI/アトミスウェイブのときに役に立つことだろう。

なお、メーカーは不明だし、型番もなかったりするのでこういう記事にしづらい面があったりする。KVClab.だと社内型番として ”KCL-97DHS” と採番しているが、これはあくまでKVClab.内の型番であり、他では使えないので注意したい。


HDMI出力端子がない古めのゲーム機の接続方法はいろいろあるが、大きく分けると下記2通りとなる。

  1. アップスキャンせずにミニD-sub 15ピンを利用する
  2. アップスキャンコンバーター経由でHDMI入力する

まずはこのモニタの強みを一番活かせる1番の方法について。

メガドライブやサターンなどの家庭用ゲーム機や多くのコントロールボックスのアナログRGB出力はJP21/SCART RGBで提供されているのでミニD-sub 15ピンに変換する必要があるが、対応している機器類がいくつかあるので、自分が使っているものや他の人により実績あるものを紹介しておく。

  • マイコンソフト XSYNC-1
  • AxunWorks RGB2MOD
  • マイコンソフト SELECTY 21 + サンワサプライ AD-D15NEK

RGB2MODというのはこんなの。下記の写真だと音声は別ルートで繋いでいるが、RGB2MODからの音声出力もできる。

RGB2MOD

国内同人ハードで “CSync Separator” という製品もあるが、自分はそっちは使ったことがないので名前だけの紹介にさせてもらう。

メガドライブならこの記事の最初の写真のようにXMD-1/XMD-2/XMD-3の15ピン(2列)出力端子にAD-D15NEKを組み合わせるのもあり。

XMD-3を他機種でも使えないかHD Retrovisionのコンポーネントケーブル用Saturn→GENESIS2コネクタ変換ケーブルを使ってみたが、残念ながら映らなかった。プレステ1→GENESIS2変換ケーブルも同様にNG。

アーケード基板のときは上記だけではなく、JAMMAコネクタに繋げる分配機器も使えるが、電圧の心配をする必要があるので、どちらかというと前記のタイプの方がよいと思う。

市販品以外を利用する方法もあるが、ここに書く内容でもないので省略。

ドリームキャストはVGA対応ソフトなら以下のように簡単に接続できる。セガ純正VGAボックスでもいいし、安価な社外品でもよい。

DC用Unofficial VGAケーブルでの31kHz

2番のアップスキャンコンバーター経由でHDMI端子に入力させる方法は一部アーケード基板のような1番の方法で映らないときの回避策になるが、家庭用ゲーム機用途のときに必要になることはそうそうないと思う。

アップスキャンコンバーターはいろいろあるが、このモニタは240p Line 4x(1280×960), Line 5x(1600×1200)も対応しているので、OSSC Ver.1.6/1.7で困ることはないと思う。もちろんOSSC Proの方がより確実ではあるが、2022年時点ではOSSC Pro Lite(DExx-vd_isl + DE10-Nano)までしか出ていないので……。もちろんRetroTINK-5X Proで接続もできるが、1番の方法で映らないようなものはRetroTINK-5X Proでも映らなかったり、映るにしても細かな同期の調整が必要だったりしてで以下略。

一応書いておくけどSTGやACTのようなリアルタイム性の高いゲームを遊ぶ場合、XRGB-mini FRAMEMEISTER のような今では低遅延とはいえない製品の使用は避けた方が無難である。なるべく1番の方法で繋いだ上で、どうしても映らないときでもフレマイを使うなら安価でも超低ラグなRetroTINK-2X ProやRAD2X、OSSCを使った方がよいという私見。


Time Sleuth Display Lag Tester で240p入力時の表示遅延を測ったときのメモも。

まずはHDMI端子に直接接続。

次にHDMI→ミニD-sub 15ピン変換(1ms未満のラグであることは別途計測済み)をしてアナログRGB端子からも。

以前ブラウン管も含めて手持ちモニタの表示遅延を測ったときの計測値からMiddleで測った時のCRTの計測値は7.1msとみなし、9.7インチモニタはCRTとくらべて約2.9-3.0msのラグがあるということになる。

この数値は液晶テレビであるREGZA BM620Xよりラグが少ないけど、ゲーミングモニタであるIOデータ LCD-RDT242XPBよりはほんの少し多い、そんな感じであり、十分に優秀といえるものである。

240p以外の直接続やOSSC Pro Lite経由やRT5X-Pro経由での計測値は以下。比較用にREGZA BM620の値もつけておいた。


ここからはアーケード基板の簡単な動作確認メモを。

KVClab.から届いて最初に試したのはアーケード基板の対応度。家庭用ゲーム機はまぁ問題ないだろうから後回しで十分なのだ。そして、15kHz対応液晶モニタということだと、数年前に流行ったcocopar TX133019もあるので、下記で並べながらテストしている。

まずは一番遅延の程度がわかるファンタジーゾーンを1周する官能検査をしたが、低遅延な液晶ゲーミングモニタにOSSC Pro Liteで接続したときと大きな違いがあるようには感じなかった。メインモニタとして使っても十分に耐えるだけの性能があると感じた。

アーケード版ファンタジーゾーン1周

今回KVClab.で買った9.7inchモニタとcocoparの15kHz対応モニタとRetroTINK-5X Pro Fw.3.0とまとめてテストするってのはこういうことで、手持ち基板の定期通電兼ねながらひたすらやってた。

ドラゴンバスター確認OK

自分は付属のスタンドを使っているが、ドルアーガの塔などのこの時代のnamco基板は右90度回転しかなく、DIPで反転ができないので別途ディスプレイスタンドなりアームなりを用意した方がいいかもしれない。自分は必要になってからでいいかなと。

ドルアーガの塔確認OK

縦基板でもnamcoもの以外は方向の問題はまぁ大丈夫でしょと。

ヴォルフィード確認OK (270度ものは問題なし)

アップスキャンコンバーターとケンカしやすいサンダーフォースACも安定しているように見える(フルプレイはまだしていない)。

サンダーフォースAC確認OK

ケイブものも1面番長時点では問題なさそう(CV1000、CAVE IGS PGM Hardwareともに)。

虫姫さまふたり ブラックレーベル確認OK

31kHzのアトミスウェイブも問題なさげだった。

ドルフィンブルーでアドミスウェイブ 確認OK

写真は撮ってないがカプコンCPS2ものやSNK MVSものも問題なく遊べた。

あらかた映ったけど、cocoparの方はぶたさんとレイフォース、9.7インチの方はそれらに加えてASOとマスタッシュボーイが映らなかった。ただ、4枚ともOSSC Pro Lite(DExx-vd_isl + DE10-Nano)経由なら映ったので大きな問題ではないかなと。F3レイフォースもOSSC Pro LiteならCSync Cleanerも不要で安定して映った。

というわけでなかなかに “強い” モニタだった。アーケード基板環境を維持するにはこういう強いモニタを1つ持っておくと問題の切り分けがしやすくなるってのは言っておきたいところである。プレイはブラウン管のみ、キャプチャもしないってスタイルなら要らないとも思うが、そういう人はそもそもこの記事を読む必要がないと思うので……。


で、この液晶モニタはAliExpressの “GIVIFENI Store” で販売しているが、不良品が出ても再送すればいいや(客に手間をかけさせることを基本的に気にしない)というチャイニーズビジネス文化(※)に馴染めない人には秋葉原のKVClab.が15kHz対応を含めた動作を確認した上で販売しているのでそちらを利用すればいいと思う。実際自分はKVClab.で購入した。

※ もちろん日本も含めてどのメーカーだって不良品が出ることはあるが、その発生率や方向性の問題

Twitterで見ている限り、最近はAliから購入した場合でも15kHzで無事動いているようだが、私は保証はしないというかできないので悪しからず。まぁ個々の責任で好きにしてくれってことで。


[関連外部サイト]

KVClab. : 【新品】 15/24/31KHz対応 中国製 9.7インチ 4:3液晶 | レトロPC | KVClab. WebShop

TECHNOJAPAN.NET : 15Khz/31Khz対応4:3比率の9.7インチ液晶モニタはアーケードゲームの基板や旧世代PCがコンバータ無しで映る!(2022/12/08追加更新)

[関連記事]

Pocket