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DExx-vd_islでのOSSC Pro先行体験

OSSC Newsletter Issue 21 – Here’s DExx! に書かれているように、2022年6月29日にDExx-vd_islがVGPで発売開始した。自分は即注文して、7月7日に届いていたのでこの週末はいろいろ試していた。

DExx-vd_isl + DE10-Nano

DExx-vd_islとはなんぞやというのは先のOSSC Newsletterを見ればわかるのでここではごく簡単にしか書かないが、単体でコンバーターとして使えるものではなく、MiSTerなどでお馴染みのDE10-Nanoと組み合わせることでOSSC Proの主要機能を使えるものである。いわば “OSSC Pro Lite”というものだと理解すればよいだろう。


OSSC Ver.1.6/1.7からOSSC Proになって何が変わるかといったときに第一にくるのが本サイトの方で書いているように以下の3つの画面モードを選べるようになることである。

  1. Pure line multiplication : 従来どおりの整数倍のラインダブラー(最も高速だけど相性問題も起きやすい)
  2. Adaptive line multiplication : DVDO VP50やEDGEのようなABT Scalerでおこなわれていたリサイズ方式でのサイズ調整。2ms前後のラグが付加される(2023-01-03追記 実測値では0.2ms程度しか増加しなかった……)
  3. Scaler (Full frame buffer) : フルフレームバッファ方式(1フレームレベルの遅延が入るが色々と柔軟。解像度切り替えにも強い。疑似120Hzモードもある)

DExx-vd_isl Fw.v0.57時点ではPure LMについてはOSSC Ver.1.6/1.7を超える解像度はサポートされていないので、OSSC Ver.1.6/1.7を持っている人は今回ここを試す必要はないと思う。

Scalerモードはプレイなしのでキャプチャ専用用途では一番使い勝手がよいものになりそうではあるが、まずはプレイとキャプチャの両取りができることを期待してAdaptive LMモードを中心にいろいろテストしてみた。というかScalerモードについてはごく簡単にしか試せていないので、後日ここに追記するかもしれない。

到着した翌日に動作確認を兼ねてメガドライブの240p Test Suiteで3モードをあれこれ試したのをTweetしているのでリンクしておく

このTweetに自己返信してスレッド化しているので興味がある人は。アーケード基板についてもあれこれ書いている。

RetroTINK-5X Proは家庭用ゲーム機用途では素晴らしいものだが、低ラグのFrame Lockモードではアーケード基板用途だと同期があわないことが多く、ここはOSSC Ver.1.6/1.7の方が強かったわけだが、OSSC Pro Liteの時点でOSSC Ver.1.6/1.7はもとよりとして、RT5X-ProやXRGB-miniよりもアーケード基板への対応度は高く(※)、キャプチャやモニタとの相性問題もOSSC Ver.1.6/1.7よりも改善しているのも間違いなく、製品版のOSSC Proがますます楽しみになった。

※ あくまで手持ち基板で試した範囲の話

ただ、DExx-vd_islはDE10-Nanoのアドオンボードであり、単純にコンバーターとして製品の体をなしていないのもあってDE10-Nanoが余っていてOSSC Proの先行体験をしたい人むけって感じのものであることは理解して欲しい。

“Lite” の時点ではマニュアルにも書いてあるように1440pは安定しないことがあるようだし、疑似120Hzもまだまだこれからだろう。あとサウンド周りも基板からむき出しのケーブルでDE10-Nanoに繋いでいるのもあって、各種アーケード基板のキャプチャテストをしたところ、一部基板で音声にけっこうなノイズが入っていたりする(※)。そもそも製品化されたコンバーターでは当たり前のことでできていない点もあるのだが、わざわざあげつらう必要もないのでTwitterでも本サイトの方でも触れていないものもあったりする。

※ (2023-07-06追記)これは録音ボリュームの問題だった。OBSなりで録音レベルを下げれば解消した。また、コントロールボックスをシグマAV7000から HAS に変更したところこの問題はおきなくなった

そんなわけでこの2日試した結果、DExx-vd_islはOSSC Proの先行体験ができる非常に面白いおもちゃではあるが、実用品として使うには高い運用力が必要となるので、現時点(Fw.v0.57)では人を選ぶものだと思った。

※ (2023-08-06追記)音声の減衰について正しくできるようになったのと、Fw.0.59でプロファイルのSave/Loadができるようになったのとで運用は初期と比べて楽になっている


とりあえずこの7月10日にテストした動画を上げているのでここからもリンクしておく。

以下2つの動画の中での接続はすべて シグマAV7000 → (穴場開発事業団 シグマ/SS用SCARTケーブル) → gscartsw → (RGC Flat SCART m-m cable) → DExx-vd_isl → Magewell Pro Capture HDMI 4K Plus LT でキャプチャしている。直接繋いでいないのは、プレイをgscartswで分配させてCRTでするためなのだが、キャプチャにXSYNC-1を経由させていないし、gscartswの同期整流機能もオフにしているので、同期トラブルが起きやすいぶたさんやレイフォースも素で対応できたことになる。

横画面アーケード基板編

縦画面アーケード基板編


2022-07-30追記
Fw.0.59がリリースされたので適用してみた。

プロファイルに設定が保存できるようになったので、やっとコンバーターとして一人前に……は届いてないけど、ぐっと使いやすくなったのは良かった。


2022-09-14追記
ここまで軽くしか試してなかった疑似120Hzモードで軽く遊んでみていた。Scalerモード, 1280×720, Frame Lock 120Hz, BFI:Onで。OSSC Pro Lite時点ではFHD以上での120Hz出力には対応していないのだ。

キャプチャソフトではこんな感じに見えている。

Scalerモード, 1280×720, Frame Lock 120Hz, BFI:On 設定画面
Scalerモード, 1280×720, Frame Lock 120Hz, BFI:On ステータス画面

上記のようにブラックフレームを入れているとやや暗くなるが、モニタの方で明るくするとちょうどよくなる。手持ちモニタのFPSモードは明るくなりすぎると思っていたのだが、OSSC Pro LiteでのBFI:Onだとちょうどいい感じになった。

Scalerモード, 1280×720, Frame Lock 120Hz, BFI:On 液晶画面

Adaptive LMモード(1920×1080)のときの液晶画面も比較のため貼っておく。

Adaptive LMモード, 1920×1080

Adaptive LMの方だとコンバーター出力時に1920×1080になっているのでモニタ側の遅延がScalerモードよりぐっと少ない。その上、コンバーターの内部処理時のラグもScalerモードの方が大きいので、Scalerモードは二重にラグが大きくなっている。ただ、120Hz表示の恩恵での滑らかさはあり、プレイ感はよかったりするのでこれは自分で実際にプレイして比較してみて欲しいと思った。


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