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ゲーム四方山話

アミューズメント産業のプロとしての意識

将棋棋士の渡辺竜王・棋王は著書の中で『将棋もプロ野球のように、知識のないファンでも無責任に色々発言して楽しんで欲しい』という趣旨の発言をしていて、将棋ファンの間では非常にプロ意識の高い発言と評価されている。

これはよくプロ野球ファンが自分では出来ないことをさも知った風に発言することに対して否定的に捉えるのではなく、将棋もそのくらい気楽にゆるく楽しんで欲しいと肯定的に捉えているわけで、広義の意味での娯楽産業に関わる人の考え方として素晴らしいと思っている。しかもこれは渡辺竜王が23歳の頃の発言である。私はこの発言を後年知ったのだが、若い時からなんて大人な考え方をしていたのだろうと感じ入った(※)。

※ 「将棋の渡辺くん」を読むと将棋以外は凄く子供っぽいところを残していて、そのギャップがまた面白い


 

対してビデオゲーム界だとその辺に対してプロ側もファン側も捉え方が未成熟だと思うことがしばしば。エンドユーザーがクリエイター視点や経営者視点がないのは当たり前なんだから、人様に直接的な迷惑をかけない限りは自由に好き勝手なことを言ってればいいと思うし、それも含めての娯楽なんだと自分は解釈しているのだが、そういう理解をしている人はあまりいないように見受けられる。

特にクリエイターはファンの勝手な意見なんてガン無視すりゃいいんだよって個人的には思っているのだが、デリケートな人が多くて以下略。逆に、Twitterでファンの無責任な発言に噛みついている自称業界人の痛い発言がRTされてくると、なんだかなぁな気持ちにさせられる。もっとも、ゲームクリエイターでも社会的に成功している人はたいていユーザーに対して寛容で余裕ある発言をするので、そういうものなのかもしれない。

[参考ページ]
My Life Between Silicon Valley and Japan > 「頭脳勝負 将棋の世界」(渡辺明著 ちくま新書)

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