RetroTINK-5X ProのFirmware Ver.2.70が2022年4月19日(JST)にリリースされたのでさっそく導入してみた……と記事を上げてから、翌4月20日(JST)に微修正されたFw.2.71が出たのでそちらとまとめて記事にしておく。
2021年12月末にリリースされたFw.2.39以来の正式リリースなので、その間のベータ版の更新がほとんど入っており、かなり盛りだくさん、自分的に重要なのは以下。
- スタートアッププロファイルの指定が可能になった
- 超低ラグモードである 1080p(Min-Lag)の追加(240p/480i/480pがソースのとき限定)
- 2560x1440pのサポート。240p Line 6x、480p Line 3xだけでなく、720p Line 2xも可能に (Xbox 360などで有用)
- 最大30fpsまでだが4Kサポート(映像デモに近いので過度の期待は禁物)
- オプション設定にてインターレース時にもH.Sampling変更が利くように。H.Samplingに追加されたHi-resolusionモードであるHires 512とHires 858でGSM使用時に高画質化できるようになった
- リモコンで値変更をするとき、ボタン押しっぱなしが利くようになった(大きく値を変更するときに何度も押す必要がなくなった)
あとFw.2.70では2560x1440pのときに色の問題があったのがFw.2.71ではFixされているとのこと。
他は公式のchangelogを見て欲しい。というか、ベータの時点で本サイトの方のページを更新しているので、そっちを全部見ればFw.2.39から追加された項目についてわかるようになっている(つもり)。
追加されただけでなく、削除された機能もあるがそれは多くの人に使われていなかった機能ってこと。そこにこだわるなら旧バージョンを使えばよい。
Min-LagモードについてはFw.2.69で調べた内容でおおよそカバーしているのだが、改めてFw.2.71で調べ直した結果を貼っておく。
まずはRT5X-Proで一番標準的な1080p(Fill)と止め絵で比較。画像をクリックするとフルサイズになるので詳細に確認できるようにしてある。
アスペクト比がわかりやすい240p Test SuiteのMonospaceから。1080p(Fill)ではH.Samplingをメガドライブの320解像度のゲームを最も忠実にできるGen320にしている。
1080p(Min-Lag)でもMonospace。Min-LagモードではH.SamplingはGeneric 4:3/16:9しか選べなかったが、アスペクト比的には大きな問題はないことが確認できた。ただし、240p Line 4xなので1080p(Fill)時より少し表示が小さくなっている。
次に240p Test SuiteのColor Bleed Checkで滲みをチェックした。
こちらも1080p(Fill), Gen320から。
1080p(Min-Lag)でも。
ここはRT5XはFw.2.71時点でもGeneric 4:3/16:9はYUV4:4:4ではないので滲みが発生しているが、Min-Lagモードはあくまで低ラグを追求した割り切りモードなのでしょうがないとしか今は言えない。V Size, V Positionの変更も含めてこのモードのときのみ設定変更に制限がかかっている箇所があるのもFw.2.69から変わっていない。
DiscordのFw.2.70のchangelogにはFw.2.69から0.500msラグが減少していると記載されているので、Time Sleuth Display Lag Testerで測り直してみた。
下記はTime Sleuth Display Lag Testerを240p/480i/480pにしてPortta HDMI to Component → RetroTINK-5X Pro → IO Data LCD-GCQ321HXDB(Gameモード, Thru on)での測定値。1080p(Fill)を0としたときの相対値で記載している(※)。
※ すべてV-Sync: Frame Lockで測定
Min-Lagモードはどの解像度でもラグの面で優秀だったが、(全出力モードでの) Triple BufferとFrame Lockほどの差があるわけではないのでメリットとデメリットを測りにかけて使用する・しないを決めればよいだろう。ただ、480iについてはFw.1.01時点で1080p(Fill)で測ったときより絶対値がけっこう増えていたので、相対的にMin-Lagモードの方がラグが少なくなっていて、このくらいの差だとメリットに感じる人はそれなりにいるかもしれない。
いつものセガハード4機種での回帰テスト結果も。
マスターシステムはTriple BufferならLPFをStrongにしなくても映ったがやや不安定だった。Frame LockでLPFをStrongにした上で、前バージョンと同様にLLPLL BWを2にする設定変更で安定した。
メガドライブはいつものように安定している。
サターンも。
ドリームキャストは480p対応SCARTケーブルで、H.SamplingはDTV 858-A。
今月のサンダーフォースIV定期プレイは1080p(Min-Lag)でのロングプレイを兼ねていたので何かの参考になればということでリンクしておく。
アーケード基板についてはFw.2.39に近い感じで、手持ちだとFw.1.999の方が対応度が高かった感がある。ただし、手持ち基板で1080p(Fill)でFrame Lockで映らない基板がMin-LagモードだとFrame Lockで安定して映るケースがあったので、少し対応度がアップしている感はある。アケ基板はH.SamplingはGeneric 4:3を選ばざるを得ないし、アスペクト比の変更が必要でない限りはMin-Lagを基本に考えてもよいと思った。
なお、対応度だけだと手持ちはこんな感じ。
(少ない) Fw.2.39 < Fw.2.71 < Fw.1.999 (多い)
1080p(Fill)だとFrame LockでNGだったエスプガルーダが1080p(Min-Lag)だとFrame Lockで1面クリアまで安定したときは、RT5X-Proのアケ基板対応度爆上がりかと思ったんだけど以下略。
まぁ身も蓋もないことを言っちゃうと、アケ基板についてはOSSC Ver.1.6/1.7の方が適正が高いのでRT5Xでがんばるのは不毛感が正直あったりする。だから自分はこれ以上詳細に調べるつもりはない。気になる人は自分で調べればよい。
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