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アストロシティミニリリース

先週木曜2020年12月17日に往年のセガアーケードゲームを37本収録した筐体型ゲーム機、「アストロシティミニ」がリリースされた。企画および制作はセガトイズで、ミニ筐体で直接遊ぶこともできれば、TV/モニタにHDMI接続(720p)して遊ぶこともできる。

自分は特装版を予約購入したクチだし、発表当日(2020年7月8日)に予約したくらいに購入を決めるのは早かったが、実は発表から2か月間は内容について全く触れてなかったくらいにクラシックゲーミング的にはあまり期待していなかった。これについては後で詳しく理由を述べる。

アストロシティミニ DXパック セガ60thアニバーサリーコレクターズエディション + サントラ

当初は訝しんでいたのだが、発表されてから2か月経ったあたりから動画サイトで中身が紹介されるようになって、案外よさそうだなというか、長年アーケード版の忠実な移植版が出て欲しいけどビジネス的に厳しいだろうと思っていたバーチャファイター1の出来がとても良さそうで期待するようになった。

バーチャファイター1はこの時点でアーケード版を最後にプレイしたのが2020年2月で、ここ数年は遊ぶたびに「アケ版を遊ぶのはこれが最後になるかもしれない」という覚悟が必要なくらいにMODEL1は壊れやすく、稼働する残存基板も少ないが、VF2が出た後のVF1の需要の低下はとても激しく、前述したように今の時代に単体タイトルでの復刻を希望するのは無茶で実現性は極めて低いとみている。だが、1993~1994年当時にゲーセンでバーチャファイターに魂を燃やしていた人間からすると、今でもやっぱり価値あるゲームなのだ。

その他ソニックブームやスクランブルスピリッツ、ゴールデンアックス デスアダーの復讐などアケ版の忠実移植がなかったタイトルもあるし、フリッキーとかコットンとか忍者プリンセスも嬉しいし、当時遊びたいと思いつつも遊べなかったダークエッジにチャレンジできるだけでも価値があるし、ゲーセンで見たことのないへんてこな設定のファンタジーゾーンとかファンタジーゾーン好きの自分にはたまらないし、大きなラグさえなければ自分的にはこれだけあれば十分に元を取れる以上の価値があるというくらいには魅力あるラインナップだったのだがTwitterのレトロゲーム界隈ではあまり人気はなく、まぁそんなもんだなと。メガドラの頃もこんなだったさ。

まぁなんとなく逆風ムードだったのでアケコンにセガトイズ限定版にと追加で狂ったように注文してみた。

アストロシティミニ セガトイズ限定版(ピンク)と並べて

で、実際届いて触ってみると、これがまたなかなかに良い。クラシックゲーミング的に覚悟していたとこはもちろん覚悟していたとおりだった部分もあるのだが、ミニハードというものに求めるレトロゲーミング的なものは払った対価に十分に見合った価値があると自分は評価する。

初日はアケコンを受け取れなかったので、まず本体だけでバーチャを遊んでみたが、案外いい感触のレバーとボタンだなと思った。液晶も綺麗。ただ、シンプルな操作のキャラはともかく持ちキャラのウルフはしんどかったので、ここはアケコン到着待ちにして、パッドを繋いだうえで外部出力させてサンダーフォースACを遊んでみた。

アストロシティミニ版サンダーフォースAC ノーミスクリア

結果は無事、一発でノーミスクリア。再現度自体はそりゃNintendo Switch版の方が高いのだが、本体もってない人にはサンダーフォースACに関してはこれで十分じゃないかとも思った。

なお、パッドはアストロシティミニ専用コントローラ(別売り)もあったが、試しに繋げたら使えた8BitDoメガドラミニ用M30を使ってみた。メガドラミニ付属の6Bパッドも使えることは確認済み。ただし、逆のアストロシティミニ アーケードスティックをメガドライブミニに使うことはできないので注意したい。あと、Retro-BitのSEGA Genesis 8-button Arcade Pad with USBはメガドラミニには公式に対応しているが、アストロシティミニでは使えなかった。

月曜にはファンタジーゾーンを2周する動画を作ってニコニコとYouTubeに上げてみた。

まぁこれもNintendo Switch本体もってる人はSEGA AGES版の方がいいのだが、8面クリアしても残機もゴールドも没収されないへんてこなバージョン(←誉め言葉デスヨ)はアストロシティのみの特権だろう。

まだ一番期待していたバーチャをノーコンティニュークリアできてないし、その他ゲームもまだまだこれからである。1タイトルあたり2か所できるステートセーブを活用して、ゲーセンでやり込んでないタイトルにもどんどん挑戦したいと思っている。


なお、発表当初はクラシックゲーミング的にはあまり期待していなかったのは、以下のような理由からである。

  1. ここまでセガの80年代、90年代アーケードゲームの復刻を多く手掛けてきた実績のあるセガ奥成氏とM2社が一切かかわっていないことが発表当日の時点で奥成氏から明言されていた
  2. ミニハードというもの自体がハードウェアの性能にあまり期待がもてなく、より再現性の高いエミュレーションをするにはパワー不足になりやすい。しかも家庭用ゲーム機よりもハードウェア性能が高いアーケードなので余計にそこが懸念される
  3. 過去発売された二桁以上のタイトルが収録されるようなアーケードゲームのコンピレーションタイトルは、個々のゲームの再現度が低めである傾向がある。また、個別で発売されるときよりもオプション設定の類はシンプルである傾向もある
  4. 企画・制作がセガトイズということで、良くも悪くもレトロゲーミング的な懐かしおもちゃとして作られている可能性がある

1・2・4番はセットのようなもので、アーケードゲームの復刻は十分にパワーのあるマシンで熟練の職人が手掛けないと見た目はいいけど、触るとさっぱりになりやすく、簡単なものではないと思っている。また、外部に開発を委託するなら発注元がそれが分かっていないといけなく、ここも重要である。

また、3番だが、お買い得感があると感じる人が多い二桁以上の複数タイトル収録もアーケードの場合は自分はプラスには思わない派で、数を多くするより数を絞った上で1本1本の再現度を高くしたりオプションを充実させた方が長く遊ぶ上では満足感が高いと思っている。これはMVSのように単一基板なら1つのエミュレータを作り込めばよいが、システム基板が複数入ったり、システム基板導入前のタイトルがあったりするとその数だけ開発もテストも手間が膨れ、個々のタイトルの再現度にマイナス方向に働く傾向がはっきりあるからだ。だが、これは以前「1980年代アーケードゲーム復刻のタイムリミット」で書いたように、すでに80年代アーケードゲームの需要は低くなっているのでどうしても、数で売るしかない事情も理解できる。

以上があったわけで、自分からすると発表当初の時点でアストロシティミニにメガドラミニのアーケード版的な期待をする人に不思議さを感じていた。


上記ブロックは発表当初に思っていたことで、以下には発表から2か月経ったあとの公式動画のコメントやTwitter見ていて思ったこともメモしておく。

・「アストロシティの時代と関係ないタイトルが多く入っていて違和感」という声については、自分は全然そう思わなくて、90年代半ばのセガのゲーセンでは80年代タイトルコーナーでアストロシティでありとあらゆるセガゲーが稼働していたのを見てきたし、ミカドや今はなきトライタワーのようなゲーセンでは長年ありとあらゆるゲームが(Newも含む)アストロシティで稼働していたから違和感なかった。クラシックゲーミング的にはそもそもそこ重要?とも思った。

・「アストロシティよりエアロシティの方があってる」もよく見かけたけど、前記したようにアストロの方が実働期間が遥かに長いので、今回のコンセプトで出すならアストロの方が適役だと思った。そもそもエアロにしたところで、システム24とシステム32タイトル以外にはまた違和感とかいうことにならないの? システム24とシステム32だけしか入れない方がいいってことなの?とも思った。これも、そこ重要?だとも思った。

・「6つボタンあるのに6つボタン全部使うゲームがない」もよく見たけど、バーニングライバルが入っても僕はありがたくないなぁというのが第一。あとVF1は親指ガードでの上下段にボタンがないとダメだし、空いているボタンに連射とか配置できるし(実際にされている)しで、あってマイナスにはならないとしか思わなかった。が、なぜか3つボタンじゃなくて6つボタンだとマイナスに捉えてそれがさも重要なことだと声高に主張する人がそれなりにいて不思議でならなかった。

ここまでの3点については、けっきょく「ミニハード」というものにクラシックゲーミング的なものを求めず、懐かしアイテムとしてしか捉えていない人が多いってことなんだと思った。ただ、それは別にそれがダメなことだとは思っていないのはくどいようだが念を押しておく。前記したように、自分自身も当初は100%そういう目で見ていたからだ。

・「アストロシティなのにVF2やMODEL2タイトルがないのは期待外れ」というのも本当によく見たのだが、僕の生きている世界線ではミニハードの類に使うハードはまだMODEL2を十分な速度で再現した上で1.5万円でゲーム30本以上入れてビジネスできるほど進歩してない認識だったのですごく強い違和感をおぼえていた。前年のプレイステーションクラシックでハードの性能不足から多くのソフトで処理落ち多発していたのは、彼らの生きてきた世界線では起きていないのかもしれない。あと、ついでに言うと、VF2やファイティングバイパーズ、デイトナUSAなどはXbox360でレベルの高い復刻がされているので、自分的には今回のラインナップの方がありがたい(この方が普通だなんて思っていないけどね)。


他に、実際に届いて触ってから思ったことを書いておく。

まず、ボタン設定について。STGだと6つボタンをフル活用して連射ボタンを適宜配置していたりするかわりに、全ゲーム難易度変更やボタンアサインの変更はできない割り切りスタイルは言うまでもなく評価されていないが、設定変更をできるようにして増える工数を削減するために収録タイトルを今の半分以下にするのとどっちが良かったかと考えるとまぁしゃーねーかなーって自分は思っている。前述したように自分自身は本数減らした上で設定変更できるようにした方がいいと思っているが、ビジネス的にその選択は難しいというか無理だとも思うからだ。

ゲーセンではボタンアサインを変えられないのが当たり前(※)で、ボタンアサインが逆でもなんとかするしかないんだからユーザ側でなんとかすりゃいいってことで。そりゃ変更できた方がいいけどさ。

※ Heyでは一部の台で当たり前じゃないことをしているけど、それでもプリセットA・Bを切り替えられるだけである

あとアケコンは三和レバーなのは事前に発表されていたので承知で買っているのだが、自分が好きなセイミツLS-32-01への換装が容易ではないのは残念としかいいようがない。

アストロシティミニ アーケードスティック レバー部

上記のように三和レバーが直接ねじ止めされているため、セイミツの場合は通常VFベースしか付けられない。つまりコンパクトタイプのLS-56-01, LS-55-01, LS-58-01などなのだが、LS-56は自分には重すぎて苦手で、LS-58は以前サターン用スティックに使って合わないと思ったのでパスしたい。当時は三和レバーでバーチャやってたので、久しぶりの三和レバーに慣れなおす方向で考えている。(2020-12-23追記 ただし、セイミツ公式TwitterによるとM4ナットを使用してVFベース以外のスティックも付けられる模様(MS?)。といっても力技なので人を選ぶと思う)

スキャンラインが適当だと不評なようだが、自分はFRAMEMEISTERでもOSSCでもRetroTINK-2XでもSEGA AGESでもアケアカでも常にスキャンラインオフなので全然気にしていない。MODEL1やシステム24タイトルではそもそも不要なものだし。


と、なんだかかつてなく怨念だらけの文章になってしまったが、もう1日ちょっとで待ちに待ったアレスタコレクションが出るので、これ以上この文書に気を使う時間もなく、まぁこんなもんでしょう。けっきょくのところ棒と箱があって、それを上手く活用しようとするかどうかでしかないので各々好きに評価すりゃいいだろということで。少なくとも部屋に精巧なミニチュア筐体あるとなんとなくニマニマするってくらいの価値はあると個人的には思う。

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「アストロシティミニリリース」への2件の返信

お疲れ様です。
とても同意できる文章でした。

移植ゲームはいろいろと
権利とか再現性とか難しいのに
安く大量に動いてないと不満を言う
人らっていますよね。

やはり2000年ごろに、
バーチャルコンソールやPSアーカイブスが
安すぎたのが。あそこでレトロゲームの
価格帯が根付いてしまったような気がします。

残党さんの買って応援するスタイルは
とても見習うべきだと思っております。

かつてセガサターンマガジンのコラムで吉崎観音先生が
> 1本1タイトルで出てくれたのも感動ポイント。昔のゲームの安売りはいけませんよ
とおっしゃっていて凄く共感した記憶があるのですが、その後けっきょく安売りされまくって相対的に価値の低いものになってしまっているのが個人的にはとても残念に思っています。

そしてエンドユーザ側が安価に大量に収録されてないと割高に感じるようになっているというのは要は人気がなくなっているということなのですが、当の本人たちは「僕はレトロゲーム好きだから」と思っているところに大きなギャップがあるんだと思っています。

そしてそのギャップが、なるべく小さい開発・調整工数、より少ないテストに繋がり、品質の低下と悪いサイクルに繋がっていると思うのですが、ユーザが無責任に好き勝手な発言をするのもしょうがないと思うので……。

けっきょくM2やゴッチの価値ってあまり理解されていないんだなーとも思いました。

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