Kickstarterでバックしていた4K Gamer Proが届いた。これはNintendo Switchやプレイステーション4(Not Pro)のような出力解像度が1080pまでの映像機器の出力を4K解像度にアップスケールするものである。なおKickstarterからだと早期割引があるって程度で一般売りもそのうちされるので気になる人はこれからでも購入できる。
接続は極めて簡単で、映像機器(ゲーム機)の映像出力端子に直接4K Gamer Proを差し、4K Gamer ProのOut端子にテレビ/モニタへのHDMIケーブルを繋げた上で4K Gamer Proに給電(USB Tyep-C)するだけである。
映像モードは本体のボタン押下でフィルタリングの強度をLow, Middle, Highの3段階で設定できる。Bypassは1080pそのまま。
以下に各モードの比較をする。使用機器はメガドライブ実機 -(SCART RGB)→RetroTINK-5X Pro (1080p(Fil), Gen320)→ 4K Gamer Pro → キャプチャボード(444対応)で。画像はクリックすると本当の4Kサイズで表示されるので、ガチ比較できるようにしてある。
まずは4K Gamer Proなしでの1080pから。4K Gamer Proを接続した上での “Bypass” でも同じ。
次に4K Gamer Pro Low設定。
4K Gamer Pro Middle設定。
最後に4K Gamer Pro High設定。
mClassicのように不自然なまでのフィルタリングがかからないかわりに、Highでも文字のクッキリ感があがったのと全体的にコントラストが強くなった程度にしか感じない人が多いんじゃと思った。ただし、自分の場合、レトロゲーミング/クラシックゲーミング用途で使うのにフィルタリングなしで純粋にアップスケーリングのみのモードが欲しかったくらいなのでむしろここは高評価。Nintendo Swithなどの現行機に使用する人はまた別の評価になるかもしれないが、それは自分の目で確かめて欲しい。
次に “Time Sleuth Display Lag Tester” というディスプレイ・ラグ・テスターを使用して1080p映像のラグ軽減効果があるかを検証したが以下の結果となった。ラグテスターの計測値は以前他で測ったときと同じですべて “Middle” の値を測っているので、実際の表示遅延値は下記計測値から7.1ms引けばまぁ1/10msレベルでおおよそ合っていると言えると思う。
使用テレビ: 4K REGZA BM620X (VAパネル)
1080p直: 11.80 – 12.60ms
1080p→4K Gamer Pro : 12.34 – 13.05ms (※)
※ 4K Gamer Proの設定にLow, Middle, Highに有意な差はない模様
けっきょく、4Kレグザは1080pの処理がとても優秀なので “ラグ的には4K Gamer Proを使うメリットはない” という結論となった。ただ、1ms未満のいわゆる “Zero Lag” 程度の差でしかないので、フォントのクッキリ感やコントラストの強化、立体感のアップなどの映像的な変化を好む人は4K Gamer Proを使用すればよいと思う。
現行の4K対応テレビ/モニタはFHD(1080p)については高速で処理する機器が多く、手持ちテレビの外部でアップスケールするメリットがあるのかどうかは購入前時点ではバクチだったので、ここはまぁしょうがないとしかいいようがない。ただし、既に一部4KテレビでFHD→4Kの処理が弱い機種があることも聞いているので、今後のテレビ/モニタ買い換え時にリスクが軽減され選択の幅が拡がる意味はあると思う。
測ったあとに4KレグザでM2 ShotTriggers版ケツイをソフト内での遅延軽減設定オンで以下3環境にて遊んでみたが、ブラインドでラグの差が分かる人はまぁ滅多にいないのではというレベルの差でしかないなと。遊びやすいと思ったものを選べばよいかと。
1.プレイステーション4を直接レグザに接続(1080p)
2.プレイステーション4を4K Gamer Pro(Low, Middle, High)経由でレグザに接続(2160p)
3.プレイステーション5を直接レグザに接続(2160p)
自分の場合、ファンタジーゾーンの方がよりラグの差がわかるのだが、プレステで遊べるようになっていないので(龍が如くシリーズ進めないと……)。
あと、気になったのは軽くテストした程度でもかなり熱くなったこと。耐久性については現時点ではわからないのでメモ程度で。
4K Gamer Proは接続形態が似ているため比較されがちな “mClassic” と異なり入力ソースが1080p以外のときはスルーするため、メガドラミニやイーグレットツーミニのような720p機器では役立たないなど完全に用途が異なるものであることは最後に書いておく。HDMIビデオスケーラーとして汎用的に使用できるmClassicにこそ4K Gamer Proのような自然な映像処理が欲しいのだが、なかなかちょうどよい製品が出てくれないなと。