ゲームビジネスアーカイブという活動があって、その第3回トークライブが2017年10月27日に行われた。私は行けなかったのだが、ニコニコ生放送で中継していたのでタイムシフトで見てみた。
Beep元編集長の川口洋司氏が司会で、元コンパイル仁井谷氏、キャメロット(旧ソニック)高橋氏、トレジャー前川氏の3人に当時のビジネス状況について話してもらうという感じで進んでいった。仁井谷氏からはMSXやSG-1000時代にメーカー側から提示された開発費の具体的な金額や、開発期間の話も出たし、高橋氏からは初のセカンドパーティということでセガとどのように関わっていたかの話があったし、前川氏からはMD時代の開発費は1本あたり5000万円で1年かけて2ラインで作っていた話とか、1本あたりのロイヤリティの話とか色々興味ぶかかった。というか当時高橋氏がコンパイルやトレジャーとかなり関わっていたのには驚いた。プロパじゃないけど現場で仕切っているキーマンという感じだったのかなと思った。
元コンパイル仁井谷氏は良くも悪くも奔放な経営だったというのが、発言の合間から垣間見えた。ぷよ通についてMD版の存在を忘れていたのもそうだが、なんといっても諸所のソフトの開発が伸びてもす~ぱ~ぷよぷよの売り上げしか気にしてなかったというとこなんて吹き出してしまったくらいだ。ただ、それによりオフィシャルでは国内メガドライブ最後のソフトである魔導物語に同メガCD最後のソフトであるシャドウランが発売中止にならなかったんだから、ユーザーとしてはありがたかったと言えると思う。
トレジャー前川氏は、当時雑誌で熱く語っていた前川氏のままだった。当然社長である以上は経営を成り立たせ、社員の生活も考えないといけないわけだが、面白いゲームを作ってゲーム好きな人たちに喜んでもらいたいという気持ちを前面に出してくるあたりに当時惹かれていたなぁなんて思いながら動画を見ていた。
メガドライブ時代、セガという会社は家庭用ハードを出して任天堂と争っているわりに、なんというか営業活動的な部分が弱すぎると思ってはいたのだが、高橋氏、前川氏、仁井谷氏の話を聞いていると、竹崎氏が入るまでは本当に何もしてなかったに近かったことも見えて、やっぱりそうだったんだというのもあったりする。竹崎さん、最初1人広報たいへんだったろうなぁ……。
ただ、それがゆえにトレジャーのようなセカンドパーティの立場で専門誌にがんがん出まくって営業活動的なこともできたようだし、純粋な意味での開発フォローはなかったけど、余計な口出しはなくお金を出してもらっていたがゆえに(ほぼ)自由にゲームを作れた面もあったって話がきけて、そこも「やっぱりそうだったんだ」と思った。
また、高橋氏は32bit機の時代になって開発規模が大きくなって、分業化・工業化が進んだけっか自由度が狭まり多様性がなくなっていくことになった、メガドライブはそこがよかった旨の発言をしていて、私もそう感じていたので共感があった。当時ゲームショップでバイトしていてメガドラ関係の売れなさ具合はよく知っていたので、「(1994年時点では)国内でビジネスになるかどうかギリギリラインなもののはずなのに、こんな面白い良いものを出してくれているなんてありがたすぎる」と思っていたことを思い出した。各社主流の売れ線しか出さなくなったら、あの味のあるソフト群は消えるであろうことは分かっていたことなのだ。
ということで脱線してきたのでこの辺で。
なお、ニコ生の該当動画のタイムシフトは2017年11月1日現在、試聴期限は無期限でかつ視聴回数制限もないので、プレミアム会員になれば後からでもタイムシフトでの試聴が可能である。気になる方はぜひ。
ニコニコ: 【メガドライブの名作たち】ゲーム業界人の足跡をたどるトークイベント ゲームビジネスアーカイブ 第3回トークライブ