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Orivision ZY-UCH401(?)でのアーケード基板キャプチャ

秋葉原の基板屋であるKVC lab.からお借りしたキャプチャユニット “Orivision ZY-UCH401(?)” で手持ち機器を使ったアーケード基板キャプチャを試したメモを残しておく。

お借りしたOrivision ZY-UCH401(?)一式

まずは手持ち基板をキャプチャしたサンプル動画で映像・音声の品質を推し量って欲しい。

まずは各種横画面アーケード基板編。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 横画面アーケード基板編

縦画面アーケード基板編も。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 縦画面アーケード基板編

製品仕様の詳細はOrivision公式サイトを見てもらうとして、一言で書き表すと「PCにUSB接続する外付けタイプのキャプチャユニット」であり、キャプチャするのに別途PCが必要である。OSはWindowsだけでなく、MacやLinuxにも対応している。

まず、基板キャプチャ用途でのこの製品のメリットを記載していく。

  • 1080p 60fpsキャプチャが可能
  • OBSで使える
  • セットアップが簡単(ドライバなどのダウンロードは不要)

デメリットもざっくりと。

  • スルーアウトできない
  • HDMI入力端子がない (HDMI to DVI変換で音声付キャプチャができたのでデメリットではなくなった)

スルーアウトはできないが、後述するように分配すればいいだけなので心配しなくていいと思う。

なお、リテール品だとコンポーネント・ビデオ入力用のブレークアウトケーブルとヘッドセット用4極プラグも付属するが、映像はHDMI to DVI変換コネクタがあれば十分だろうし、ヘッドセット用4極プラグは必須ではないし安価に購入できるので問題にはならないだろう。

2023-03-20時点で販売価格は決まっていないので正確なことはいえないが、Amazonで6,000円未満の価格帯の同種製品は1080p 30fpsしかキャプチャできないし、それらよりははっきり良い製品にしては安価に買える価格設定になる見込み。


なお、なんで自分が協力しているかというと、自宅でアーケード基板を遊ぶ趣味もっているけどキャプチャが難しいものだと思い込んでいるおじさんがけっこうな割合でいることを知ってるから、そこのハードルを下げたいという野望の一環だったりする。前述したようにチャレンジしやすい価格になるはずなのでこの機会にやってみて欲しいなと。

ということで簡単な接続例を記載していく。あくまで例であって各自自分にあう環境を構築すればよい。

1-1.アナログ時に分配

まず、自分にとってメインのやり方を。アップスキャンコンバーターでデジタル変換する前の、アナログ信号の時点で分配する方法である。これだとプレイはCRTでするのでラグの心配が全くないのがメリット。これはキャプチャ用のアップスキャンコンバーターはラグが大きめの製品でも問題ないことも示している。

アナログでの分配は分配機能付きのSCARTセレクタでもいいし、XSYNC-1でもいいし、アーケード基板ならJAMMA ExtractorNAC Splitfireという手もあるだろう。

アナログ分配例

SCARTセレクタとPCとCRTは映っていないが、実際の接続はこんな感じ。

基板 – コントロールボックス -(SCART)- 分配機能付きSCARTセレクタ -(SCART)- アップスキャンコンバーター -(HDMI to DVI)- ZY-UCH401 -(USB 3.0)- PC

1-2.デジタル(HDMI)で分配

次にブラウン管をいまさら使いたくないとか、部屋に置くのは負担が大きいって人むけにデジタルで分配する方法を紹介しておく。

これは単純にHDMIスプリッターを使えばいいだけで、以下の図のような構成になる。

デジタル分配例

HDMIスプリッターはこんな感じ。この製品は1 in 2 outなのでわかりやすいと思う。

HDMIスプリッター 例

アップスキャンコンバーターとHDMIスプリッターの相性問題(?)が発生することがあるのが難点だが、そこをクリアすれば導入しやすい構成だと思う。

1-3.分配せずに映像Out端子のあるモニタを使う

BenQ RL2460HTのようなHDMIでの映像Outのあるモニタなら下図のようなシンプルな構成でラグを最小限にした上でキャプチャできる。ただしHDMI出力端子がある液晶モニタの選択肢が少ないという問題がある。なお、モバイルモニタだと “HDMIループ” という表記で同機能が提供されているのでそちらを選択するのも一案ではある。

映像Out端子のあるモニタを使用した例

PVM/BVMなどのHD-SDI入力端子があるモニタにHDMI to HD-SDI接続した上でHD-SDI OutからZY-UCH401(?)に繋ぐ方法や、ゲーム機からBNCのRGB/ComponentでPVM/BVMに接続した上でOut端子をアップスキャンコンバータに繋いでZY-UCH401(?)に入れる手もあるが、いずれにせよその選択をする人は稀だと思うのでこれ以上は書かない。

1-4.分配せずにPC側の画面でプレイする

比較的ラグの少ないキャプチャユニットなので、分配せずにPC側の画面(後述するOBSのプレビュー画面)をプレイに使う方法もあるといえばあるが、家庭用ゲーム機でリアルタイム性の低いゲームを遊ぶならともかく、アクションやシューティングの多いアーケード基板向けの方法ではないのでこれはお勧めしない。動作確認程度ならこれでもいいとは思う。


PCでキャプチャに使用するソフトはDirectShow対応のキャプチャソフトならなんでもいいが、定番のOBS Studioでいいだろう。

OBS Studioのインストールから基板キャプチャするための最低限のセットアップ手順は別記事に記載しておいた。

ZY-UCH401(?)固有の設定ということだと以下が挙げられる。

  • 映像デバイス名: xVideo #0
  • 音声デバイス名(SDI/DVI): xAudio #0
  • 音声デバイス名(4極プラグのマイク): xMic #0

“#0” の数字部分は本体のID設定依存。


アップスキャンコンバーターはここまで以下で試しているが、アップスキャンコンバーターが受け付けてZY-UCH401(?)側が受け付けないケースは今のところ起きていない。

  • RetroTINK-5X Pro (Fw.3.0)
  • OSSC Pro Lite(DExx-vd_isl (Fw.0.64) + DE10-Nano)

ジャレコのぶたさんのように変態周波数なせいでRetroTINK-5X Pro自体が受け付けない基板は当然RT5X経由ではキャプチャできない。ただし、その場合でも OSSC Pro Liteなら対処できることはサンプル動画で示しているとおり。

これはOSSC Pro(Lite)のAdaptive LMモードおよびScalerモードが特殊な信号にも強いからではある。OSSC Ver.1.6/Ver.1.7と同様のモードであるPure LMの240p Line 5x(1600×1200)をZY-UCH401(?)が受け付けることはメガドライブで確認しているので、キャプチャトラブルが起きやすい基板で大丈夫かも試してみるつもり。なお、Pure LM 240p Line 4x(1280×960)は、OBS上の映像キャプチャデバイスの解像度を1280×960にすると受け付けないので、1600×1200などの選択できる解像度の中から選ぶしかないようだ。

カスタム解像度の選択

OSSC Ver.1.6は去年電源を入れたままAV2 Audio inを雑に抜き差ししていたら壊してしまったので実機検証できない。OSSC Pro LiteのPure LMで大丈夫なら、OSSC Ver.1.6/Ver.1.7でも大丈夫だと予想はするけど断言はできないのでそこは理解して欲しい。


ここまで”Orivision ZY-UCH401(?)” とクエスチョンマークをつけているのは、リテール品ではない上にケースにも中にもOrivisionのロゴがないので正規品であることを断定する材料がないからである。ただ、中を見る限りはKVC lab.の中の人いわく安物チップではなく品は良さそうとのこと。自分は一部付属品が欠品したバルク品ではないかと推測しているが、あくまで推測であることには留意して欲しい。

ZY-UCH401(?)なかみ

最初に手持ち横画面と縦画面のアーケード基板でのサンプル動画を張り付けておいたが、他のサンプル動画はここに追加していく。

アップスキャンコンバーターやキャプチャユニット・ボードと相性問題が非常に起きやすいぶたさんのロングプレイから。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 ぶたさん 1CC編

ファンタジーゾーンはNew Ver.で2周している。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 ファンタジーゾーン(New Ver.) 2周編

ドルアーガの塔は中盤にしょぼいミスが2回あったけど、事例追加なので60面1CCのロングプレイを上げれたってことに意義があるということでZzz…。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 ドルアーガの塔編

ここまでアーケード基板用途でしか書いていないが、当然CS機でも使えるのでメガドライブでのサンプル動画もせっかくだからリンクしておく。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 メガドライブ編

アーケード基板に戻ってドラゴンバスターを。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 ドラゴンバスター編

exA-Arcadia版 赤い刀もクリアまで録った。HDMI Splitterを使った事例も兼ねている。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 (exA-Arcadia版)赤い刀編

虫姫さまはCV1000の事例ってことで。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 虫姫さま編

サンダーフォースACの事例も。これはHAS V4.2というSupergunのテストも兼ねている。(6月10日に差し替えた)

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 サンダーフォースAC編

ヴォルフィードの事例も。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 ヴォルフィード編

エスプガルーダはCAVE IGS PGM Hardwareの事例ってことで。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 エスプガルーダ編

フライングパワーディスクでのMVSの事例も。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 フライングパワーディスク編

スラップファイトの事例も。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 スラップファイト編

CS機だがAnalogue Pocket + Analogue Dock(720p設定)を HDMItoHD-SDIコンバーター でPVM-Dに接続し、PVM-DのHD-SDI Out端子からZY-UCH401のSDI端子に接続したケースの事例も載せておく。

Orivision ZY-UCH401(?) テスト動画 HD-SDI入力編

なお、このキャプチャユニットについてのメモは今後もこの文書に追記していく予定。


[関連サイト]

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