2024年7月末に販売が開始された小型コントロールボックス(Supergun)の一種である “Easy Arcade 2” について記事にし忘れていたので、メモだけでも残しておく。
まず、コントロールボックスとはアーケードゲーム筐体(アストロシティやイーグレットIIの類)なしでアーケード基板を使うための道具であり、Easy Arcade 2でプレイ環境を構築する場合、以下のような構成でよい。なお、あくまで基本構成なので、以下を元に各自工夫すればよい。
・基本構成
AC基板 + Easy Arcade 2 (+USB電源 + USBコントローラー) + SFC用RGBケーブル (+ スケーラー) + モニタ

Easy Arcade 2本体にJAMMAコネクタがついているので、JAMMA基板は直接使用できる。JAMMA規格前の基板のときはJAMMA変換コネクタ・ハーネスを使えばよい。電源はUSB PD対応ACアダプタ、コントローラーはXboxやプレステ用のUSBコントローラー、映像出力はSFC用のアナログRGBケーブルが使える。SyncはCSync, Luma, CVBSいずれにも対応しているとのこと。
水平同期周波数(以下HSYNC)が15kHzに対応しているブラウン管モニタがある場合、遊ぶだけならスケーラーは不要である(※)。
※ キャプチャするときにはスケーラーがあった方がキャプチャボード・ユニットの選択肢が広がる
液晶・有機ELモニタは通常HSYNC 15kHzには非対応なので、別途スケーラーも必要となる。15kHz対応の液晶モニタを使う場合、スケーラーは基本不要と考えてよいが、同期信号にクセのある基板のときにスケーラー経由でないと映らないことがあることには注意して欲しい。15kHz対応液晶モニタはブラウン管の15kHzモニタよりアケ基板への対応度が低いと考えてよく、必要以上に期待してはいけないのだ。アイレム、ジャレコの基板はこのあたりの癖が強いものが多いので注意したい。
そして、安価なスケーラーも癖のある周波数のときは非対応なケースが出がちである。自分が VSYNCが約54Hzという変態周波数のNMK/JALECO ぶたさんを Easy Arcade 2 + OSSC Proの事例に真っ先に選んでいるのはそういう意味だったりする。
このようにスケーラーは規格外への周波数への対応度が高い OSSC ProやRetroTINK-4Kを用意しておくのが理想ではあるが、だいたいの基板はもっと安価な製品でも対応できるはずだとは思う。いずれにせよ各種スケーラーでの使用事例がWeb上で紹介されている基板は少なく、自分で試してみないことにはわからないのがふつうであると考えてよい。
Easy Arcade 2 は従来のコントロールボックスと比べて思いつくだけでも以下の利点がある。
1.電源がUSB Type-C PD対応ACアダプタでよい(スイッチング電源は不要)
2.プレステ4用やXbox用のUSBコントローラーの多くが使える(ボタンアサインの変更も可能)
3.非常に小型であり、持ち運びに便利
4.ショットボタンを複数ボタンに割り当てた上で片方を連射にするなどの設定が容易
5.JAMMAハーネスが不要
6.2P側の操作を1P側コントローラーに割り当てることが可能
7.別途オプションにて、4人プレイが容易に実現する
8.別途オプションにて、ハンドルなどのアナログコントローラー対応が容易に実現する
なお、すべてのUSBタイプのコントローラーに対応しているわけではない(当たり前)。HORIのRAPやBrook UFBなどのメジャーどころは動作が確認されているが、8BitDo Arcade Stick for Switch & Windowsは有線接続ではXInputモードでもNintendo Switchモードでも認識してくれなかった。パッドだと 8BitDo M30 Wired Controller for Xbox と Xbox Elite ワイヤレス コントローラー シリーズ 2 が対応していることを確認済み。手持ち他にもコントローラーもあるが、アケゲーはアケコンで遊びたいのと、M30が対応している以上、他を使うこともないので試していない。
自分がデメリットだと思っているのは以下。……と草稿の時点では3つほど挙げていたのだが、軽微な問題を必要以上に重くとられたくないのでここでは書かないでおく。
一応自分のようなへぼプレイヤーでもこのくらいはできたよという事例はYouTubeに上げているので、興味があるなら、同じタイトルで他のSupergun使用時のときのプレイと比べれてみればよい。
なお、ネットではEasy Arcade 2を「これだけで基板で遊べるようになる初心者向け製品」的な紹介をしている人を何人か見かけているが、販売しているKVC lab.が中級者向け製品としている意味はよく考えて欲しいとも思う。少なくとも製品マニュアルの注意書きはよく読み、そこに書いてあるリスクは完全に理解して欲しい。
あと、動く、動かないレベルのトラブルが起きたときはFirmwareを最新版に上げたり、設定の初期化(InitAll)を試したりくらいは人に言われずともやって欲しい。Easy Arcade 2はいわゆる同人アイテムで個人でやっているものであり、専門のサポート要員がいるわけではない。無駄に相手に負担をかけるようなことはぜひ避けて欲しい。
[関連サイト]
- 販売: 簡易コントロールボックス 『EASY ARCADE2』 | コントロールボックス | KVClab. WebShop
- 公式(マニュアル、最新Firmware): EASY ARCADE 2 取扱説明書 | EASY ARCADE