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環境整備

ラグテスターを使用してのディスプレイ表示遅延検証

VideoGamePerfection から Time Sleuth Display Lag Tester を購入したので、この週末は手持ち機器で色々テストしていた。いずれ本サイトにまとめるつもりだが、草稿をここに書いておく

なお、Time Sleuth Display Lag Tester はFirmwareの更新をすることで240p出力もできるので、USB Blaster Programmerの互換品を購入して2020年7月11日~7月12日に結果を更新している。

テストは下記画像のように、テスターからHDMI出力された映像(白枠点滅)をモニタ/TV上から直接テスターの受信部分で読み取って、Excelブックにメモしておくというやり方でおこなっている。白枠はTop/ Middle /Bottomの三か所に表示されるが、自分はすべてMiddleのみを記録して比較した。

テストの仕方

まず、CRTから。

手持ちブラウン管モニタでのラグテスト結果(背景色が薄青のセルは2020年6月7日測定値)

手持ちブラウン管機器では以下を確認できた。

  • 同じモデルのサイズの違いでほぼ差がないこと
  • HD管とSD管で差がないこと
  • VGA変換とコンポーネント変換で差がないこと
  • アナログ変換(VGA、コンポーネント)とデジタル変換(HDMI to HD-SDI変換)とで差がないこと

なお、Topで測ると各解像度で微妙に異なるが、0.15~0.4ms程度だった。つまり、HDMI to VGA / Component / HD-SDI変換はいずれも1msを大きく下回るラグしかないということになる。

次に液晶モニタを(2021-05-13 RetroTINK-5X Pro列追加)。

手持ち液晶モニタでのラグテスト結果(背景色が薄青のセルは2020年6月7日測定値)

手持ち液晶機器の以下を確認できた。

  • IO-DATA LCD-RDT242XPB はIPSパネルだが同時期のTNパネルのBenQ RL2460HTより低ラグかつ受入解像度が多め。ただしインターレースには弱かった
  • LCD-RDT242XPBは480pに強いのでRetroTINK-2X, RAD2Xと最高に相性が良い
  • BenQ RL2460HTは格闘モードやFPSモードにすると、標準モードよりも表示遅延が増加した(なんだよそれ……)
  • REGZA BM620XでRetroTINK-2XやRAD2Xを使うなら、mClassicで2560×1440にスケーリングした方がラグが小さくなるのでよい(※)
  • Pixio PX329はVAパネルだし、ゲーミング能力にはあまり期待していなかったが、3年前に最速と言われていたモニタより優秀だった
  • OSSCはやはり優秀
  • ゲーム機側で出力解像度を選べる機種の場合、インターレースはなるべく避けた方がよい
  • RetroTINK-2X + mClassicはPCモニタのときに本当に優秀だが(※1)、4K REGZA相手のときは予想以上にロスが出る(それでもフレームマイスターよりは優秀)
  • RGB/コンポーネント・D端子接続できる機器の場合、XRGB-mini FRAMEMEISTERは今となっては以下略。もともとゲーム中の解像度切替に極端に弱く、サターン・プレステ世代が苦手な機器だが、入力ソースがインターレースのときに特に遅くなることがわかったのでドリームキャストやプレステ2世代にも向いていないことがわかった(480p接続ならまだまし)。コンポジット・S端子接続する機器はRetroTINK-2Xの方が安価で低ラグなので以下略
  • RetroTINK-5X ProのTriple Bufferモードはアナウンス通りにラグが多め。機器の互換性の問題がおきないならFrame Lockで遊んだ方がラグ的には有利
  • RetroTINK-5X Proはラグ自体はOSSC Ver.1.6使用時より2ms程度多い(が、互換性は高く、設定も簡単で運用はしやすい)(※2)
  • RetroTINK-5X Proは、RetroTINK-2X Pro使用時と比較すると、PCモニタのときはラグが2ms程度多く、4Kテレビのときはラグが1ms弱少なくなる。RT2X使用時は480p→モニタ/TV側でネイティブ解像度への自動変換がされるが、その処理時間の差だと推測される(※2)

※1 mClassicは解像度を整えてラグを少なくする目的で使っており、絵が変わることには目をつぶっているので注意して欲しい


※2 RetroTINK-5X ProはFw.1.01での1080p(Fill)での計測値。Fw.2.70からの新モードである “1080p(Min-Lag)” だと内部的なラグを純粋に比較してでRetroTINK-2X/RAD2Xに近い値までラグが減った。480p入力が高速なPCモニタへの接続時以外では、RT2Xは1080pなりにモニタ側でアップスケールされるロスが入るため、RT5XのMin-Lagモードの方が実測値ではラグが少ないケースは多そう。(2022-08-24追記)


実際に試してみなければわからないが、4Kレグザでの今回の結果のように480pの入力ソースをmClassicなりで2560×1440以上にスケーリングした方がトータルで速くなるのは、4Kモニタ、WQHDモニタは同じ特性のものが多いと予想。手持ちREGZAは4K対応なので、本当は3840×2160にスケーリングしたかったがmClassicは1080p 30fpsでないと4K映像にできなく、1080p 60fpsは2560×1440までしかできないので、今回のテストはこうなっている。

HDMI to VGAの方がHDMI to YPbPrであるWiistar HDMI to Female YPbPr RGB 1080P Component Videoのときよりも0.5ms早い結果が出たが、ブラウン管のときは同じだったので別の色差変換機器でも試してみたく後日、RetroRGBでZero-Lag Converterとして紹介されている Portta HDMI入力 to アナログ コンポーネント RGB YPbPr 変換アダプター R / L オーディオ コンバーター 1080I でのテスト結果を追加した。というか、液晶の方はPorttaの測定値に置き換えた。0.5msレベルではあるが、PorttaのHDMI to Componentの方がラグが少ないため、今後の計測はこちらを使うことにする。

HDMI to VGAは最初テスターのサイトで紹介されていた Rankie HDMI to VGA変換アダプター のみでテストしていたが、こちらも同じくRetroRGBで紹介されていたPortta HDMI to VGA Video Converter Adapter でのテスト結果も追加した(CRTのみ)。当初720p変換はできなかったのだが、SYNC Combiner機能付きのVGAtoBNCケーブルに変えたら映るようになった。おそらく1080iも映ると思うが、Time Sleuth Display Lag Testerの設定を戻したくないので省略させてもらう。そもそも720pが映るモニタに対して1080iを選ぶ場面はないので構わないと思っている。

あと、”TVゲーム”とはいうけれど、ラグの小ささに重みを置く場合はPC用モニタの方がビデオゲームを遊ぶのに適しているし、今時のゲーム機を遊ぶためにも一台はゲーミングモニタあった方がガチな人にはいいと改めて思った。REGZAのゲームモードもかなりがんばってはいるのだが。


キャプチャユニットのパススルーモードに遅延がないかも検証。

手持ちキャプチャユニットのパススルーラグテスト

マイコンソフト XCapture-1とIO-DATA GV-HDRECのパススルーは信頼できるものであることを確認できた。なぜこれを確認したかというと、OSSCを240p 5xキャプチャできるユニットで、パススルーに数フレームラグのあるものがあると聞いたからだ。

2021-02-06 AVerMedia ER330のテスト結果も追加した。ゲーミングモードならZero-Lag(1ms未満のラグ)だった。デフォルトのスタンダードモードにはけっこうなラグがあるので、映る、映らないの問題がおきない限りは変更した方がよいだろう。


あと、表には入れていないが、HDMIセレクターに遅延がないかも確認した。手持ちの物理スイッチ式のHDMIセレクターはZero-Lagだった。

[関連サイト]


2020-06-15追記

RetroRGBの人がTime Sleuth Display Lag Testerを使ったコンバーターのラグ比較動画を作っているので、そちらも参考になると思う。


2020-07-12追記

USB Blasterが届き、Time Sleuth Display Lag Tester の出力解像度を工場出荷時の{480i/480p/720p/1080i/1080p}から{240p/480i/480p/720p/1080p}に変更したので、240pぶんを追加検査した。また、上記変更をしたら、計測値が0.5ms以内ではあるが初回時と変わった項目があったため、なるべく測り直している(やたらと手間がかかった……)。

2020年7月現在で応答速度や低内部遅延を売りにしている下記モニタの実測値知りたいので、Time Sleuth Display Lag Tester で測った人がいたら教えて欲しい。

  • Pixio PX5 HAYABUSA2
  • Pixio PX279 Prime
  • Acer VG240YSbmiipx
  • ASUS VG258QR / ASUS VG278QR
  • I-O DATA EX-LDGC242HTB / EX-LDGC271TB
  • I-O DATA LCD-GCQ241XDB / LCD-GCQ271XDB

2020-10-23

Time Sleuth Display Lag TesterでAcer VG240YSbmiipxとI-O DATA EX-LDGC241HTB2を測った人がいたのでリンクしておく。

「1msの超高速応答」を謳っているAcer VG240YPbmiipx(TN)より、公称応答速度5msのPixio PX329(VA)の方がそんなに差がないとはいえ低遅延という現実(※)があるから、メーカーの出す数値は当てにならないんだよなぁ。応答速度と表示遅延は異なる概念だといっても、ゲーム向きの性能を表すのはここくらいしか今はない。全メーカー同じ基準で測った数値を公表するようになって欲しい。
※ 少なくともクラシックゲーム機を遊ぶときの60fpsでは


2021-01-11追記

液晶モニタのテスト結果に、水平同期周波数15kHzが映るcocopar TX133019を追加した。このモニタを買ったのは2017年なので以前から測ることはできたのだが、ふだん使わずにしまっているので後回しにしていた。案外低遅延だった。ただ、ゲームモードは入力端子や解像度によっては使わない方がいい結果になったのはちょいイケてない感あるなと。


2021-02-06追記
AVerMedia ER330のパススルー性能も調べたので、画像を差し替えた。ER330は「ゲーミングモード」でないときにはけっこうなラグが入ることが確認できた。

ゲーミングモードのときはZero-Lag(1ms未満のラグ)なので、そちらを常用すればよい。


2021-04-30追記
液晶の方はHDMI to ComponentはPorttaの計測値をメインにした。


2021-05-13
液晶にRetroTINK-5X Proでの計測値を追加した。
幅が広くなりすぎたので、mClassic単体の列とHDMI to VGA列を非表示化した。

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