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ゲーム用途でのPCレスキャプチャユニット比較 GV-HDREC – ER330編

PCレスキャプチャユニットについて、ゲーム用途で使ったときにIO DATAのGV-HDRECとAVerMediaのER330とでそれぞれどこにメリットがあるか、両方1年以上使って自分なりに感じたことを比較しながら書いていく。

下記写真からわかるように製品のサイズ感はほぼ同じで実売価格的にも用途的にも比較されやすい製品だと思うが、かなり特性が違うので単純にどちらの方が良い・悪いで言えるものではなかったりする。

IO DATA GV-HDREC
AVerMedia ER330

なお、ゲーム用途といっても自分はPCレスキャプチャユニットをプレイステーション4/5やNintendo SwitchのようなHDMIで1080p出力ができるゲーム機のキャプチャ用途ににしか使っていない。これはGV-HDREC、ER330ともに、解像度や周波数がHDMI規格に則っている入力信号でないと基本正しくキャプチャできないからであり、レトロゲームをアップスキャンコンバーター経由でキャプチャする用途だとPCを使用するタイプのキャプチャボードの方が向いているからである(特にアーケード基板のとき)。アップスキャンコンバーターにRetroTINK-5X ProのTriple BufferモードやXRGB-miniを使う場合はこのあたりをある程度は吸収できるが、OSSC Ver.1.6で使うのにはGV-HDREC、ER330ともに向いていないと思う。なので、以下の比較をする際に、古めのゲーム機を繋ぐ際の適正とかは考慮に入れていないのに注意して欲しい。


前振りが終わったところで、まずは結論から。

[GV-HDRECを使った方がよいケース]
・ゲーセンへに持ち込んでキャプチャするなど、持ち運びが入るとき
・記録媒体にSDカードを使うとき

[ER330を使った方がよいケース]
・持ち運びをせず、記録媒体にNASを使う場合

向き不向きがあるから一概にどちらが良いとは言えないということ。


ここからは(やや)詳細に。

GV-HDRECはSDカード(大きめのサイズ)で、ER330はmicroSDでそれぞれ規格が異なるのだが、抜き差しを頻繁にするときは大きめのSDカードの方がずっと使いやすい、またER330はメディアを抜き差しするときのシステムチェックに時間を取られるため、SDカードで運用するときはGV-HDRECの方が使いやすいと感じた。ポータブルHDD/SSDを使う場合もGV-HDRECの方が使いやすいと思う。

また、ER330は起動に20秒前後時間がかかるため、ここがクイックなGV-HDRECの方がゲーセンなどに持ち込むときには有利に働くだろう。

GV-HDRECの良さはここに書いた以外にもいろいろあって、なんだかんだで日本メーカーは完成度高く仕上げてくるというのを感じる良い製品だと思う。ただし、発売されてからちょっと経っているのもあって、128GBまでのSDカードしか使えなく、ファイル移動の頻度が高くなりやすいのは弱点であろう。ミスプレイなどのゴミファイルの削除も手間がかかる。ここはWi-Fi対応SDカードを使えば軽減されるところではあるが、最大容量はさらに小さくなってしまうのが悩ましいところ。


対してER330は起動が即時ではないし、初期Firmwareの出来が酷くて最初の半年はかなり印象わるかったのだが、なんだかんだで発売から1年以上経って安定してくると持っているポテンシャルの高さが活きてきた感じがある。大きなメリットは以下。

・NASに対応
・リモコン付属
・PCレスで配信可能(YouTube、Twitch)
・H.265対応。最高画質はこちらの方が良い

NAS使用時はSDカード利用時と異なり事実上残容量を気にしなくてよくなる上、PCへのファイル移動が必要なくなるので使い勝手が圧倒的によくなる。ゴミファイルの整理もSDカードやポータブルHDD/SSDをいちいち取り外す必要なく一瞬でできる。ここがER330の一番大きなメリットだという私見。

また、決して反応がよいわけではないがリモコンがついているのでキャプチャ開始、終了もやりやすい。GV-HDRECもTVなりのHDMIリモコンで一応制御できるのだが、セレクタを挟むと利かなかったりで、ここもはっきりER330に分がある。

配信機能については自分はほとんど使っていないが、ゲーム機本体に配信機能がついていないNintendo Switchのようなゲーム機をライトに配信するには十分な機能が提供されていると思う。配信タイトルなどの配信情報の変更はPCがなければスマホやタブレットからすればよいだろう。

画質については一応こちらの方が良いのだが、YouTubeなりにアップロードするときはけっきょく差はほぼなくなるのでGV-HDRECユーザはあまり気にしなくてもよい……が、やはりソース時点での画質をよくできる選択肢がある方が良い。画質をGV-HDRECと同等にする場合でも、ER330はH.265対応なのでファイルサイズが約半分で済むのも利点と言えるだろう。

なお、AmazonレビューでER330のパススルーに遅延があると書いてあるのを鵜呑みにしている人をTwitterで見かけたのだが、それはパススルーモードにしてなかっただけで、パススルーモードなら1msを大きく下回るラグしかない(いわゆるZero-lag)のはディスプレイラグテスターで確認済みである。これは普通のER330ユーザーなら知っているし、マニュアルにも書いてあるし、自分は測定した結果を発売直後に載せているのだが、製品仕様を理解していない人のレビューを理解力が低いユーザが自分で試してもいなければ深く調べることもなくエアプで広めている悪い循環になっていたのでまぁ簡単ではあるがここに本当のことを書いておく。安定していない云々も初期Firmwareの話でしかない。

まぁIO DATAに比べるとAVerMediaの製品は細かい点で気が利いていないというのは正直感じるので、強いところを便利に使いこなそうとするのではなく、減点法でしか評価できない人には向いていないかもしれないとは思った。自分は両方とも買って1年以上使っているが、持ち運び用途では使わないのでER330しか使っていないのだが。

まぁいずれにせよ、PCレスタイプのキャプチャユニットが1台あると便利である。自分の用途に合うものを選べばよい。


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